真実の自分と

君を救えるものは 君の たましいだけ

大誘拐〜四人で大スペクタクル〜再演ありがとう!感想書きました!

大誘拐〜四人で大スペクタクル〜

本当に大好きな大好きな舞台作品でした。だと言うのに、初演時も再演時も感想を何も書き残していないと言う体たらくなの本当に申し訳ない。自分が情けないぜ。

再演の幕が閉じてからもう3ヶ月経過してますけど感想を書くよ!

 

 ストーリー

刑務所の雑居房で知り合った戸並健次(中山優馬)らは、出所するや誘拐の下調べにかかる。狙うは紀州随一の大富豪、柳川家の当主とし子刀自(白石加代子)。齢82を重ねてなお矍鑠と周りを魅了する女丈夫であるという。実は健次は柳川家が支援する孤児園の出身で、とし子との忘れられない思い出があった。

さて、ある夏の日、健次率いる若者グループにとし子が誘拐される。誘拐の報に、とし子を生涯最大の恩人と敬う、凄腕警察本部長、井狩大五郎(風間杜夫)が捜査に乗り出す。一方、誘拐犯が要求しようとしていた身代金が五千万と知ったとし子は激昂、百億にしろと言い放ち、3人を従え、自ら身代金強奪の指揮をとり始める。まずは、柳川家の家政婦として仕えていたとし子を慕うくーちゃん(柴田理恵)宅に押し寄せ、アジトにしてしまう。かくして4人の役者は揃い、前代未聞の大誘拐劇が繰り広げられる。

さて、とし子刀自の本当の狙いとはいったい何なのか。
この誘拐劇の結末やいかに⁈

身代金も桁違い、破格ずくめの斬新な展開が無上の爽快感を呼ぶ、
抱腹絶倒の大誘拐劇。

 

あらすじ引用させていただきました。

『大誘拐』〜四人で大スペクタクル〜 公式サイト

 

もう、本当に贅沢だよ。こんな布陣に優馬君が抜擢されたことも本当にすごいし、私自身も白石加代子様や風間杜夫さんや柴田理恵さんを舞台でこんなにがっつり見ること無かったので本当にお得な気分になれたな。

大誘拐は舞台作品とうたってはおりますが朗読劇の要素もあると言うか、優馬君以外の3人は台本を見ながら演じている時がある作品だったんですがもう本当に圧倒的なセリフ量なのでそれも当然というか、白石さんなんて80代ですよ…?あの量のセリフを朗々と語り切れることがもうすごい事です。素晴らしい役者さんだ…プロだ…。

風間杜夫さんはものすごく遊び心のある役者さんだなと感じました。もう一周回って余裕がありすぎて完璧な芝居を見せる以外の事まで手を伸ばせてしまっている、そんな余力を感じたし、板の上にいることが当然というか、長年第一線で活躍してきた方っていうのはやっぱり違うな〜、存在感が圧倒的で役よりもまず本人の存在感が異様なほど強い。アドリブを一番楽しんでいる人でもあったし、かなり役を逸脱した感じの振る舞いがあっても(メタっぽい言動とか)全然関係ないっていうか笑 これが成立するところまで到達してしまっている役者さんっていうのは本当に限られてくると思います。風間杜夫風間杜夫でしか補完されない、替えの効かない者であることを証明しきってしまっていたので「人間っておもしれぇな〜」くらいまで感想が飛躍しちゃう。すごかったなぁ。

柴田理恵さんは一番いろんな役をコロコロ演じ分けしなきゃいけないポジションに着いていて、本当に色んな表情を見せて頂きました。あんなに色んなこと覚えるのもやるのも大変だろうと思うけどこの布陣のバランサーでもあって、風間さんのフォロー的なことも大体全部柴田さんがしてくださってましたね笑 多分裏でもたくさんフォローに回ってくれている感じが優馬君のYouTube見てても感じるところがあったので優馬君の言うように「柴田さんってどんな人?て聞かれたら、みんなの中にある柴田理恵像を思い浮かべてくれたら『それです』って答えられるくらいイメージそのまんまです」ってのがめっちゃ納得感あるなぁ笑 あとはもちろんスキルも高くて素晴らしかった。噛まないとかトチらないとかそういう基本が当たり前に備わっている役者さんに出会えると本当に嬉しくなります。クオリティの担保。大事。

白石加代子様はもう圧倒的で、まず声が素晴らしい。あんなにハリのある朗々としたお声で演じることが出来ているのは日々のトレーニングあっての事と思いますし、風間さんよりも更に存在感のある役者さんがこの場に居るのって当たり前じゃないですよ…。刀自という人物、しなやかで強く優しい老婆で、計算も早く知識もあり、人望もあり、この人のためにどんなことでもして差し上げたいと思っている関係者がたくさん居る、そんなお婆さんいます?って感じなのに白石加代子様が完全にその説得力を持ってこの場にいらっしゃるので…。このお話の核となる人物でもあるし、刀自の語りで感じることってたくさんあって、公演見るたびに様々な事を感じる機会があったのが初めての経験だったな。本当にかっこよかったです。だいすき加代ちゃん。

優馬君はこんなベテラン勢に囲まれてすごく良い影響をもらっただろうな〜と思いました。毎公演毎公演同じクオリティのものを届けることにすごく特化した所が優馬君の長所だし、そういうところを信用して何度も見に行かせてもらっているのでそれを崩す必要もないのですが、それはそれとして、役者として中山優馬として板の上に立ち自由な表現に身を任せる楽しさというものもまた舞台にはあるんだということを実感したのではないかなぁと思った次第でした。あとは本当にクオリティの鬼。とんでもない長台詞を噛むこともせず飛ばすこともせずスラスラと言ってのけるその実力、唯一台本を持つこと無く全編やりきっているのが誇らしくもありました。実力のある若手を見せつけてくれてありがとう。色んなところから声がかかってほしい。

 

大誘拐の好きなところ、たくさんあるんですが、まず挙げるならコンパクトさかな。

舞台ってとにかく長いんですよ。大体が3時間ある。そして静かに観なくてはならない緊張感がある。それが好きなところでもあるんですが、大誘拐って休憩なし2時間以内で終わるし、色んなところに笑っていい箇所が存在してるからゆったり観られたんですよね。そしてお子さんの観劇も歓迎していたので本当に気軽に行ける雰囲気があって。そういう優しい空間だったことに一番好感を持っていました。哲学的な堅い演目ばかりが評価されがちな演劇界ではあるけど、こういう楽しいエンタメでもあるよねってことをこんなに実力のあるメンツでやってくれることがすごく良かったです。

楽しい作品だけどふざけてないし、たった4人で難しいことをやっているんだけどそれを感じさせない気軽さがそこにはあって、こういう作品には中々出会えないので本当に再演してくれて嬉しかったなぁ…。願わくば、再々演もしてほしい。

あと本当に4人が達者。技術卓越者。すげぇ。当たり前のようにご用意されてるけど決して当たり前じゃない。

嫌なところが無いっていうのが本当に美点だった。何もかもが良さに溢れていた。

 

内容のことにも少し触れたいと思うのですが、ネタバレ書くので嫌な方は自衛してね。

 

まずもう原作がめちゃくちゃ面白いんですよ。和歌山の大地主のおばあちゃんを誘拐したら、そのおばあちゃん本人から「私の身代金はそんなに安うない。100億円にしろ!」と到底考えられない金額に値上げをされて、誘拐されたはずのおばあちゃんと誘拐犯たちで知恵を合わせて100億ものお金を用意させる。というストーリー。(作品が描かれたのは私が生まれるよりも前の時代で80年代昭和のミステリー作品で、やっぱり携帯が登場する前のミステリーっておもしろかったよね…。)

その画策もさることながら、『なぜ誘拐された老婆が自分の家に100億円もの身代金を払わせようとするのか?』という刀自の動機の壮大さ、考えの深さ、ずっと持ち得ていた行き場のない怒りと、冷静な計算力。もうこれが初見の時にびっくりしてすごすぎてカッコよくて食らってしまったんですよね。そんな理由なんだ!?あとそんな控除があるんだ!?!?笑

ある日ふと自分で体重測ってみたら10㎏も減ってて「こんなに体重が減るなんておかしい、絶対に病気がある」って急に目の前に死が迫ってきてドキドキする感じがめっちゃリアリティあるし、それによって「私の人生ってなんやったんや…」と振り返った時に自分が失ったもの(戦争で三人の子供を亡くした事)、今自分が居なくなったら残されるもの(少し頼りない息子・娘達)、奪われるもの(自分の財産や土地・木々、相続税)。それぞれに順々に思いを馳せて「”国”にやり返してやりたい」となるの、カッコよ…と痺れた。そんな動機!?

そこに健次が現れた事を「神様があの子を遣わせてくれたと思った」という幸運さと、そこからこの大誘拐劇に至る計算力。最終「窃盗による損害は国から控除が出る、その最高額が100億円なんです」と刀自が言ってのけた時、私はもう脱力しつつも笑ってしまいながらその冷静な頭の良さに心から感心してしまいました。マジでカッコ良すぎる…。

 

健次率いる犯行グループも決しておバカさんじゃなくて、でも素直でかわいらしくもあって、愛すべきキャラクターだったな。

健次が優馬くんで本当にありがたかった。色んな姿を見せて貰えたし、本当にかわいいね優馬くんって。という基本に立ち返ったりもしました。笑

私は健次が刀自と初めて会った時の施設でのエピソードを語る時(ここも超超超長台詞なのに難なくこなしててすごかったな…)今の健次から急に子供の時の健次に切り替わって「いらん!なんもいらん!」と涙ぐむセリフ、本当にこの一言だけのシーンなのにちゃんと毎回泣いて駆け出して行ってしまう幼い健次がそこに居て、優馬君てすげぇよ…となってました。大好きなシーンだった…。

舞台版ならではの所として、ラストの健次の「俺おばあちゃん好きやねん」のニュアンスというかなんか愛情の感じ。優馬くんの健次が一番刀自に懐いてて憧れてて愛してて一緒に居たくて「ここに置いてんか」になった感じがあって、正直に萌えがありました。かわいいね…。

ストッキング被って出て来たり(中々見れない姿)、リボンカチューシャ着けて「女装」と乗り切るいさぎの良い演出や、オタクへのサービスですか??っていうダンスシーンまで用意してもらって本当に満足度がすごい舞台だったな大誘拐…。

 

白石さんが大千穐楽で「風間さんががやたらと柴田さんに迫ろうとするのは何だったの?」(柴田さんが何の役で居ても風間さんはキスを迫ろうとする流れが初演時から存在していました)と聞いてくれて(私も疑問ではあった笑)柴田さんから「なんか気持ちがたかぶっているとそういう風になるんだよ。って説明されましたよ」と話があり、あぁ一応ただふざけていただけでは無くて、説明できる理由は用意されてたんだなぁって感心したのに白石さんは「でもあれ変だよねぇ?」と真っ向からぶった切っててむちゃくちゃ面白かったですね。ベテランたちの戯れ笑

 

こちら再演も幕は閉じてしまいましたが、原作小説も映画もありましてこれも面白いので是非触れてみて欲しい。そして再々演があった時にはみなさん是非ご覧になって下さい。よろしくお願いします。